マザーボード が故障し、PCパーツを大幅に変更しました。既存のSSDは問題なく動くようでした。問題は、パーツ構成を変えたPCにSSDを流用できるかです。そこで、パーツ変更とWindowsライセンス認証について調べてみました。ところが、サイトによって結果がまちまちでした。次に、同様の問題を扱ったサイトを時系列順に調べました。そこから、既存のSSDで新しいPCのライセンス認証が可能かどうか確認しました。
はじめに
これまでに使用していた自作PCが壊れてしまいました。このため、新しいPCを購入せざるを得なくなりました。おそらく、マザーボードのP5K-E(ASUS)が故障したためとだ思います。このマザーボードは2007年の10月に発売されたものです。購入から約16~17年使用してきました。SSDやHDD、メモリやグラフィックボードなどが故障するたびに交換していました。このため、マザーボードの寿命が来ても不思議ではありませんでした。別のPCに接続し、既存のSSDやHDDに問題ないことを確認しました。変更したPCパーツは以下の通りです。
CPU:Intel Core i5 12400F BOX
マザーボード:ASRock B760M Pro RS/D4 WiFi ドスパラ限定モデル
グラフィックボード:Palit NE63050018JE-1070F
メモリ:ドスパラセレクト D4D3200-16G2A2
既存のSSDには、OSとしてWindows 10 Proがインストールされていました。このOSは、Windows 8.0 Proから無償アップグレードしたものです。過去には、Windows 10をクリーンインストールしたことがあります。このため、OSのインストールに不安はありませんでした。問題は、アプリの再インストールでした。そこで、既存のSSDを新しいPCに流用することを思いつきました。
プロダクトキーによるライセンス認証の問題点
既存のSSDの流用について調べてみると、サイトによってライセンス認証ができる場合とできない場合がありました。場合によっては、ライセンス認証ができず、再購入に至るケースもありました。既存のSSDが流用できなければ、クリーンインストールをすれば良いと考えていました。しかし、クリーンインストールしても、ライセンス認証ができない可能性がありました。これは、既存のSSDにインストールされているWindows 10がWindows 8から無償アップグレードしたためでした。この場合、Windows 10のプロダクトキーがありません。
マイクロソフトアカウントのリンクの問題点
既存のSSDは、Windows 8から10に無償アップグレードしたものでした。このため、Windows 10のプロダクトキーはありません。以前、何かの記事でWindows 10をクリーンインストールする場合、マイクロソフトアカウントにリンクしておいた方が良いことを知りました。そこで、PCが壊れる前にあらかじめマイクロソフトアカウントにリンクしました。しかし、今回の調査で、リンクしたPCでもライセンス認証ができない場合があることも知りました。
ハードウェアの問題点
さらに、マザーボードのBIOS(Basic Input Output System)がUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)に変わりました。このため、ハードウェアの構成次第で既存のSSDを認識できない可能性も出てきました。最近のCPUにはGPUを内蔵しているものもありますが、この内蔵グラフィックスはCSM(Compatibility Support Module)には対応していません。当初の想定よりかなり状況が変わっており、思ったよりも事態が深刻だと思いました。
既存のSSDは、レガシーモードでWindows 10がインストールされていました。そして、ライセンスはマイクロソフトアカウントにリンクしてありました。さらに、グラフィックは、内蔵GPUではなく、グラフィックボードを購入しました。一応、これらの条件はCMSに対応しており、ライセンス認証が通る可能性は高いです。しかし、調べてみると、これらの条件を満たしていても、ライセンス認証が通らないケースもありました。そこで、これまでに調べたサイトを時系列順に並べ、ライセンス認証について紹介したいと思います。
ライセンス認証の時系列
今までのPC環境が残るSSDをそのまま新調したPCに使えるか調べてみました。調べてみると、マザーボードの変更によって、Windowsのライセンス認証が通る場合と通らない場合があることが分かりました。人によってライセンス認証が取れたり取れなかったりと、バラバラで非常に分かりにくいので、参考にしたサイトを時系列順に以下に並べてみました。
2022/6/27
以下のサイトでは、Windows 7のプロダクトキーで認証が通ったそうです。
2023/10/3
ところが、以下のサイトではWindows 7と8で認証が通らなくなったそうです。
また、マザーボードのBIOSのアップデートをした場合でもライセンス認証が通らなくなるそうです。仮にライセンス認証が通っても、
「現時点でライセンス認証が有効である場合でも、稀に「30日後」に認証が外れることがあります。」
とのことです。
2023/11/5
以下のサイトでもWindows 7と8でライセンス認証が通らなかったそうです。しかも、Microsoftのヘルプセンターの電話認証も駄目だったそうです。
上記のサイトでは、マザーボードを含めた大幅なパーツ交換をしています。2023年9月23日以降、無償アップグレードしたWindows 10はライセンス認証ができませんでした。その結果、新規にライセンスを購入したそうです。内容を読む限り、「Windowsを再度認証する」画面が出ているので、Microsoftアカウントでデバイスのデジタルライセンス登録をしているように見えます。
2023/11/24
この記事以降のサイトを探してみると、以下のサイトを見つけました。このサイトでは、Microsoftの公式サイトの「Windows のライセンス認証を行う」に触れています。そして、「ここで紹介する手順なら、Windowsライセンスはいかなるタイプでも新しいマザーに移管可能」と紹介しています。
デジタルライセンスでWindowsをアクティブ化する場合、Windows 10も11も以下の内容のようにハードウェアを大幅に変更してもライセンス認証ができるようです。以下は、Windows 10の内容です。
マザーボードの交換など、ハードウェアを大幅に変更した場合は、Windows 10 をライセンス認証できなくなる可能性があります。
Microsoft アカウントをデジタル ライセンスに関連付けて、ハードウェアの変更用に準備してください。 この関連付けにより、ハードウェアを後で大幅に変更した場合でも、ライセンス認証のトラブルシューティング ツールを使って Windows のライセンス認証をもう一度行うことができます。 詳しくは、「 ハードウェア変更後の Windows の再アクティブ化 」をご覧ください。
2023/12/3
価格ドットコムの以下のクチコミでは、CPUやマザーボードを新規購入し、その他のパーツを流用したそうです。しかし、残念ながら、Windows 10が起動できなかったそうです。
この原因としては、一つは、CPUがGPUを内蔵していることが挙げられます。さらに、流用したSSDがBIOSモードで使用されていることも挙げられます。どちらも、CSMに対応していません。CPUの内蔵グラフィックスではなく、グラフィックボードを使用すればCSMに対応する可能性があり、Windows 10を起動できたかもしれません。
2024/1/9
Windowsのライセンス認証がかなり問題があったのか、その経緯をまとめたサイトがあったので以下に紹介します。
とりあえず、2023年9月20日に「Windows 7/8/8.1からWindows 10/11への無償アップグレードを行うためのインストールパスが終了」しました。その結果、これに該当するPCのライセンスが再認証できなくなっているようです。そして、今までWindows 7/8/8.1のプロダクトキーが利用できていたのは、この無償アップグレードを利用していたからだそうです。ただ、この記事では、OEM版やDSP版ではライセンスの移行ができないそうです。これは、「Windowsマシンにおけるマザー&CPU変更について」の内容とは異なります。
2024/6/6
以下の記事では、マザーボードを交換した後でWindowsのライセンス認証ができない場合の一連の対処法を紹介しています。
ライセンスの確認方法
既存SSDをライセンス認証可能かどうかは、インストールされたOSのライセンスの種類を確認する必要があります。以下の記事では、リテール版やOEM版、DSP版の違いについて説明しています。そして、ライセンスがいずれに該当するかをコマンド入力で確認する方法も紹介しています。
GUI(Graphical User Interface)による確認方法
Windows 10
Windows 10で確認する場合、以下の通りです。
設定→更新とセキュリティ→ライセンス認証
今回の例に取り上げたWindows 10は、既存のSSDを流用したものです。ライセンスの種類はリテール版です。
Windows 11
Windows 11で確認する場合、以下の通りです。
設定→システム→ライセンス認証
今回の例に取り上げたWindows 11は、市販のノートPCのものです。ライセンスの種類はOEM版です。
リテール版とOEM版の内容を比較すると、どちらも「Microsoftアカウントにリンクされた」という文言が入っています。以下のサイトでは、この文言が入っていない場合、パーツの組み換えでライセンスがなくなる例として紹介しています。
CUI(Character User Interface)による確認方法
ライセンス認証をコマンドで確認する場合、以下の二つの方法があります。
簡易な情報を知りたい場合は、以下のコマンドを使用します。
slmgr /dli
以下に、Windows 10と11の内容を紹介します。リテール版とOEM版でそれぞれ違いがありますが、基本的な表示は変わりません。
詳細な情報を知りたい場合は、以下のコマンドを使用します。
slmgr /dlv
以下に、Windows 10と11の内容を紹介します。リテール版とOEM版でそれぞれ違いがあります。しかし、こちらも基本的な表示は変わりません。
まとめ
マザーボードやCPUなどのPCパーツを変更した場合、OSがインストールされた既存のSSDのWindowsのライセンス認証が通るかどうか不明でした。そこで、ライセンス認証に調べたところ、記事によって結果はまちまちでした。この原因にはいくつかのことが考えられます。
無償アップグレードの終了
まず、2023年9月23日以降にWindows 10の無償アップグレードが終了したことが挙げられます。この結果、Windows 7あるいは8からのアップグレードができなくなりました。そして、プロダクトキーのないWindows 10のライセンス認証もできなくなりました。
BIOSの変更
次に、BIOSがUEFIに変わったことが挙げられます。特にCMSに対応していないハードウェアが組み込まれている場合に注意が必要です。これは、マイクロソフトアカウントにリンクされていても、ハードウェアによってPCが起動できない可能性があるからです。
ライセンス認証とマイクロソフトアカウント
最後に、ライセンス認証がマイクロソフトアカウントにリンクされていることが挙げられます。デジタルライセンスによってライセンス認証されていても、マイクロソフトアカウントにリンクされていないとライセンス認証が通らないようです。また、ライセンスの種類によっては、パーツを交換するとライセンス認証が通らない可能性もあります。OEM版でもマイクロソフトアカウントにリンクされます。しかし、市販PCのため、CPUやマザーボードを交換する機会がありません。この結果、検証はしていません。
ライセンス認証の結果
今回、パーツが全てCMSに対応していました。そして、デジタルライセンスもマイクロソフトアカウントにリンクされていました。ライセンスの種類はリテール版でした。この結果、手順を記録するのを忘れるくらい、あっさりとライセンス認証が通りました。他のサイトのような苦労は全くありませんでした。条件を満たしていれば、大幅なパーツ交換でもライセンス認証が通ると思われます。ただし、絶対という保証はできません。
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