Illustrated by いらすとや
当施設を利用していた10代の男性が受験勉強を機に社会復帰されました. 思春期特有の落ち込み (うつ病?)ということで当施設を訪れ, 約1年の間, 当施設を利用されていました. 本人の許可を得たので, 改善に至る経緯とその間に見られた計測データの変化を紹介したいと思います.
思春期特有の落ち込み (うつ病?)
診断名は家族からの話では二転三転しており, 医師からは 思春期特有の落ち込み (うつ病?)と言われ, 最終的にはよく分かりませんでした.ご本人は, 精神病院や精神福祉施設が合わず, 代表の関 京子と知り合いの医師からの紹介で当施設を訪れました.
発病当初は部屋に引きこもり, 窓を全部締め切り, 布団に包まっていることが多かったそうです.
当施設へ来た時は, 学校を休学し, ひどい症状もほとんど治まっていました.
しかし, 周期的に気分の落ち込みが起こるとのことでした.
見学に来たとき, 本人曰く, 「特に緊張することはなかった」そうです.
また, もの作りの一部動作の計測について説明した際も何の躊躇もなく, 計測することを承諾しました.
金沢大学で故 関 昌家が精神病患者さんの動作計測を行っていた時, 患者さん達は計測に協力的でした.
これは計測が行える環境が既に整っていたためであり, この環境整備には時間が掛かります.
当施設のように日も浅く, 個人で行っている場合, 信用もないので, 計測を嫌がる人の方が多いです.
このため, 計測を躊躇なく承諾したことは意外でした.
計測は, 週に1度, 当施設に来られた時だけ行いました.
その周期をグラフにしてみると, 図1のようになりました.
ご家族から聞いた話の通り, おおよそ月1回は原因の分からない体調不良になっていました.
ただ, 14-15の時は休むことはなかったのですが, 計測した時にある異常が見られました.
この異常が見られた日にご家族に連絡したところ, 2-3日前から調子を崩し, 何気ない言葉のやり取りとりだけでどういう訳か落ち込んでしまったそうです.
また, その他では, 27-28, 35-36は休日などでお休みでした.
28-29以降は2週間置きに休むことが増えています.
ただ, この時期からは, 徹夜などによる寝不足や風邪で, 自分でも原因を説明できるようになっていました.
図1.当施設を休む間隔 |
統合失調症やうつ病, 躁うつ病(双極性障害)などの精神病の問題点は, 自己観察ができなくなっているということが挙げられます.
通常, 身体の内外の情報は感覚神経を通じて脳によって処理されます.
その情報を基に, 自己観察を行い, 自分の行動を調整します.
例えば, 漠然とした表現になりますが, 身体の調子の良さを感じれば張り切ったり, 逆に身体の調子の悪さを感じれば休息を取ったりという経験は誰にでもあることだと思います.
しかし, 精神病を患うと, この脳に何らかの機能障害が生じ, 情報処理が上手くできず, 行動の調整も上手くできません.
このため, ご家族からすれば, 理解の出来ない行動をするだろうし, 行動の異常を指摘しても修正されないことに不安や苛立ちを感じることでしょう.
ただ, 本人自体も脳の情報処理が上手くいっていないことに気付けていないので, ご家族と同じように, 行動修正ができない自分に不安や苛立ちを感じていると思います.
このため, 当施設では, ご家族に対して, 出来るだけ何も言わずに見守るように家族会や家族面談を通じてお願いしています.
自己観察が出来ない?
前述したような, 統合失調症やうつ病, 躁うつ病(双極性障害)などの精神病の方が自己観察が出来ないというのは, 今までに来られた利用者さんのもの作りの工程や作品, 当施設で行っている計測の結果から判断しています.
今回来られた10代の利用者さんの場合, 計測では, 革細工の木槌の振り幅や刻印の跡, 木槌で打つ衝撃にその傾向が見られました.
木槌の振り幅と刻印の跡
例えば, 1回目と2回目の振り幅を見てみると, 1回目に比べて2回目の振り幅が非常に大きく変化しています(図2).
1回目は, 当施設に初めて一人で来た日でしたので, 緊張したのではないかと尋ねたところ, 「分からない」との返答でした.
2回目は翌週で, 刻印の打った跡を見てみても, 半分近くまで穴が開くほど強く打っていたことが分かると思います(図3).
この利用者さんは, 右利きで, 左手で刻印を持ち, 左から右へ刻印を打つので, 打った跡が左手で隠れてしまいます.
このため, 自分の力加減を知ることができなかったと思われます.
これまでに計測した利用者さんの振り幅の変化の傾向を見てみると, ほとんどの方が1回目の振り幅が小さく, 2回目が大きくなっていました.
そして, その理由を尋ねると, 全ての利用者さんが計測されることに対して緊張したことを訴えました.
そこで, 1回目と2回目の数値を比較し, 「やっぱり1回目は緊張したかも?」と尋ねると, 「言われてみれば, そうかもしれない」とのことで, 自分が緊張していたことを少し自覚したかもしれません.
図2.木槌の振り幅の変化 | 図3.1回目と2回目の刻印の跡 |
図1の14-15の計測時の異常として, 15回目では刻印の跡が右上に大きくズレています(図4).
若干, 10・11・13回目の刻印の跡もズレてはいますが, 15回目ほどではないです.
また, 通常であれば, 前回の線に近づいているのでズレに気付いて修正すると思います.
実際, 10回目では刻印のズレを途中で修正している跡が見られます.
この15回目に関しては, 刻印のズレを修正するどころか, 私が尋ねるまで刻印の跡が大幅にズレていることに本人は気付いていませんでした.
また, この日以前に変わったことがなかったかを尋ねたところ, 本人はご家族とちょっと言い合いになって落ち込んだと言っていました.
ところが, 後日, ご家族に確認してみると, 特に言い合いになるようなことはなく, ご家族も何で本人が落ち込んだのか分からないとの事でした.
ただ, 別の統合失調症の利用者さんでも, ご家族と言い合いになったということを言われたので, 後でご家族に確認してみると言い合いになるようなことは全くなかったということもあります.
統合失調症だけでなく, うつ病でも被害妄想があるので, ひょっとしたらこの日以前に病気の症状が出ていたのかもしれません.
図4.15回目の刻印の跡 |
木槌で打つ衝撃
革細工で計測を行う場合, 木槌で打つ衝撃を0.6~0.8[G]に抑えるようにしてもらいます.
ただ, 0.6~0.8[G]に衝撃を抑えると言っても, そんな経験をしたことがある人はまずいません.
当然, すぐには出来ないので, 木槌の打ち方を色々と試行錯誤してもらうことになります.
このため, 木槌の振り幅を大きくしたり小さくしたり, あるいは木槌を強く振ったり弱く振ったりして, 徐々に出来るようになっていきます.
今回の利用者さんの場合, 26回目から木槌で打つ衝撃を0.6~0.8[G]の間で継続して制御できるようになっています.
ところが, 36回目で急に衝撃が0.8[G]を超えてしまいました.
このときは, 打つ姿勢がいつもと違っていたのですが, 本人は気付いていないようでした.
ただ, 38回目も衝撃が0.8[G]を超えてしまったのですが, 計測を行う前に体の違和感を訴え, 上手くできないことを予測していました.
図5.木槌による衝撃の変化 |
改善の経緯
お菓子を食べるようになる
当施設では, 利用者さんにお菓子やお茶を提供しています.
お菓子やお茶を提供したぐらいで何が分かる?と疑問に思う方の方が多いかもしれません.
これは, おもてなしの意味もあるのですが, 実は当施設という新しい環境に馴れたかどうかを評価する指標にもなります.
実際に精神病モデル動物の行動を評価する方法として, 新しい環境にマウスやラットなどのげっ歯類を置いたとき, 摂食行動(food intake)や飲水行動(water intake)が見られるまでの時間を計測する行動評価課題があります.
うつ病モデル動物では, 餌を食べる, または水を飲むまでの時間が通常よりも長く掛かります.
今回の10代の利用者さんの場合, お茶は最初から飲めたのですが, お菓子は中々食べませんでした.
しかし, 後半にはお菓子を食べるようになり, 話に夢中になったりしてお菓子を食べれなかったときは持って帰るようにもなりました.
環境に馴れていない場合, 遠慮したり, 気を遣ったりして, 本来の行動が出ない場合があります.
精神病だと, 感情の制御ができない, 変な行動をする, 人の言うことを聞かないというような負のイメージが強いと思います.
しかし, 病気が安定してくると, 自分でちゃんと行動を制御できるようになります.
そして, 場合によっては病気のイメージを意識しすぎて周囲の誤解を恐れ, 何もできない場合もあります.
このため, 当施設では利用者さんの本来の行動を見るため, 環境に馴れたかどうかを様々な視点から確認し, 行動の制限もできるだけ行いません.
当施設では出来るだけ行動制限を行わないので, お菓子を食べることに関して, 逆の行動を示す方もいます.
つまり, お菓子を食べまくる利用者さんもいます.
例えば, 来客用に置いておいた飴を全部食べてしまったり, 中には施設内を探し回って閉まってあるお菓子を引っ張り出してきて食べてしまう場合もあります.
ところが, 症状が安定してくるとこの行動は見られなくなります.
また, 後でこの理由を説明してくれる場合もあります.
たかがお菓子ですが, 行動の変化を追ってみると, 病気の改善の手掛かりになる場合があります.
新しいことへの挑戦
環境に慣れてくると, 少しずつですが, 自分のことを話すようになってきます.
その話を聞いていると, こちらから新しいことに取り組む様に指示した訳でもないのに, 何故か新しいことをやり始めたことを知ることが出来ます.
今回の10代の利用者さんは, 当施設に来た当初は, 他の利用者さんと同じように革細工で「もの作り」を行っていました.
ところが, 途中からは革細工をすることを拒否するようになり, 「もの作り」よりも会話をする事が中心になってきました.
この利用者さんは, 当施設に来る前からパソコンを使って3Dグラフィックを操作することをしていました.
そのため, 自分が作った作品や知り合いの作品を紹介したり, 自分の作品を作る上で問題になったことなどを話すようになりました.
その会話の中でプログラムの話を何回かしたことがあります.
それが関係したのかは分かりませんが, 自分で一からプログラムを作成することを試みたりして徐々に面倒なことにも挑戦するようになっていきました.
当施設に来る利用者さんの中には, どういう訳か絵を描く人が多いです.
そこで, この10代の利用者さんの3Dグラフィックの作品を他の利用者さんに紹介したり, 他の利用者さんの描いた絵を10代の利用者さんに紹介したりしていました.
すると, 絵を描いていた利用者さんの一人が3Dグラフィックをするようになり, お互いに当施設に通う日が合わないので, 私たちを通じて, 3Dグラフィックを作る上で起こった問題を10代の利用者さんに質問するようになりました.
逆に, 10代の利用者さんは, パソコンでも手書きで絵を描くようになりました.
また, 手書きで絵を描くための参考資料を買って, 当施設に来た時に説明してくれることもありました.
その話をきっかけに, 紙に絵を書く練習を勧め, パソコンと紙との違いを体験してもらいました.
本人曰く, 当施設に来て人生で初めて紙面上に絵を描いたそうです.
その後は, 紙に絵を描いて説明することが増えました.
統合失調症やうつ病, 躁うつ病(双極性障害)などの精神病では, 脳の海馬という記憶・学習に関与する部位に障害があると言われています.
そして, この海馬に障害がある場合, 新しい物事に対する興味が希薄になります.
海馬の障害によって新しい物事に対する興味が希薄になるという行動異常は, 動物実験によって再現されています.
そして, このような行動異常を評価する方法には, 新奇物体認知試験(Novel Object Recognition Test, NORT)が挙げられます.
NORTでは, 見慣れた物と新しい物を同時に提示し, 動物が新しい物に接触する時間や回数を評価します.
海馬に障害がある動物は, 新しい物に対する接触時間や回数が通常よりも少ないです.
逆に, 海馬の機能が改善してくると, 新しい物に対する接触時間や回数が増えます.
このことを踏まえると, 当施設で初めて経験した革細工から始まり, 自分の興味や関心があった3Dグラフィックに関係する新たな技術の習得に徐々に移行していったのは海馬の機能の改善を意味する可能性があります.
新しいことに対して色々と挑戦するようになったのは, 今回の10代の利用者さんの場合, ご家族が本人のやることに対して何も言わずに見守っていたことが大きな要因だと思います.
当施設の代表である関 京子がこれまでに病院で見てきた患者さんのご家族の中には, 患者さんが自分から何かをやろうとしても病気などを理由にやらせなかったり, 代わりにやってしまったりすることがあります.
この場合, 多くの患者さんは, 自分で何かをする機会がご家族の干渉によって奪われるので, 何もできなくなります.
ところが, 患者さんが病院に入院したりして, ご家族の干渉がなくなると自分でやることが増え, それとともに新しいことに挑戦するようになります.
このように, ご家族が精神病を理解せずに色々と干渉すると, 病気が改善しない場合があります.
自己観察の現れ
身体の調子の良し悪しを判断する場合, 前に出来たことが出来なくなった, あるいはその逆で前に出来なかったことが出来るようになったという風に, 過去の自分との比較によって判断することがあるかと思います.
これは, 過去に自己観察して記憶・学習した内容を基に今現在の自己観察の内容を比較することで実現していることが予想されます.
しかし, 統合失調症やうつ病, 躁うつ病(双極性障害)などの精神病では, この過去と現在の自己観察の内容を比較することに関係する脳の前頭部・側頭部・海馬に問題があるため, 自己観察が上手くできないことが考えられます.
そこで, 当施設では「もの作り」の動作を計測することで, 何が出来るようになったか, あるいは出来なくなったかを数値で視える化し, データが変化した場合, その理由を本人, あるいはご家族に考えてもらいます.
今回の10代の利用者さんの場合, 図5のように木槌を打つ衝撃の変化を追っていくと, 26回目から0.6-0.8[G]の間で木槌を打つ衝撃を安定して制御できるようになっています.
ところが, 36回目で急に衝撃が大きくなっています.
この日の木槌を打つ姿勢を観察していると, 右肩が下がり, 机に寄り掛かるような姿勢をしていました.
そこで, この日以前に何か疲れる様なことをしていないか尋ねたところ, 前日にパソコンで絵の手書きの練習をして, 肩が凝っているかもしれないとのことでした.
また, 38回目では, 36回目と同様に衝撃が大きくなっています.
ところが, この日は計測を行う前に, 「昨日はゲームをやって, 肩が凝っているから上手く出来ないかもしれない」と言い, 事前に身体の不調を訴え, 木槌の制御が上手くできないことを予測していました.
この利用者さんのこれまでの計測の中で, 38回目の時のように身体の違和感とその原因を考え, 木槌を上手く制御できないことを予測したのは, この時が初めてでした.
これまでに当施設を体調不良で休むことがありましたが, 後日, その理由を聞いても「分からない」と答えることの方が多かったと思います.
このように, 身体の不調とその原因を訴えることが出来たのは, 36回目に絵を描いて肩が凝ったことと38回目にゲームをやって肩が凝ったこととを比較できたからかもしれないので, これはひょっとしたら自己観察の現れかもしれません.
そして, 38回目の後に予備校に見学に行っているのですが, その時の感想を聞いたところ, 「緊張した」との答えでした.
最後に
今回の10代の利用者さんが 思春期特有の落ち込み (うつ病?)ということで当施設に来てから社会復帰に至るまで, 計測で得られたデータを基にまとめてみました.
図1の休む周期を見てみると, 28回目を境に前半は休みが少なく, 後半は休みが多くなっています.
休みが多くなっているので, 状態が悪化しているように思う人がいるかもしれません.
しかし, 実際には, 前半は将来の目標を聞いても特になく, 自分が今までしてきたことやその時やっていたことに関しても自信がなさそうでした.
このため, 自分から何かを話すことはなく, こちらが質問することで会話が成り立っていました.
また, こちらが課題を提示することで, 革細工にも取り組んでいました.
ところが, 後半からは大学受験を目指す話も出始め, その時に取り組んでいた3Dグラフィックについても自分から話すようになり, こちらに意見を求めるようにもなりました.
そして, こちらが提示する革細工は拒否するようになりました.
前半と後半の違いは何かと言うと, 行動に自発性が出てきたということです.
ちょっと違うかもしれませんが, ラットやマウスのげっ歯類を用いた研究で, 強制的に運動をさせた場合と自発的に運動をさせた場合とで脳内の変化を調べたところ, 海馬で新たに生まれてくる神経幹細胞の数が増えたということが報告されています.
この海馬で新たに生まれた神経幹細胞は記憶・学習に関与するだけでなく, 脳の機能維持と修復に関与するとも言われています.
後半から自発的な行動が増えたのは, ひょっとしたら海馬の機能が改善したからかもしれません.
当施設では, 利用者さんに何かを強制することはありません. 可能な限り本人の自発性を尊重します.
これは脳の機能を踏まえたことだけが理由ではありません.
こちらが何かを強制したことで問題が起こった場合, 仮にその問題の原因が本人にあったとしても, こちらの所為にして自分の中の問題に気付けない場合があるからです.
このため, こちらから選択肢を提供する場合もありますが, 選択するのはあくまでも本人であり, そうすることで自分の中にある問題に出来るだけ気付いてもらえるようにしています.
当施設は, 病院でも医療福祉施設でもありません.
そして, 利用者さんの病気が改善してくると, 興味の対象が当施設が提供する「もの作り」以外に移っていく場合が多いです.
このため, 当施設としては残念なことではありますが, 利用者さんの中での当施設の優先順位は下がっていきます.
さらに, 社会復帰の方針が決まると, これまでの利用者さんの多くは, 徐々に利用回数を減らしていくのではなく, 社会復帰が決まると同時に当施設の利用もやめてしまいます.
ただ, 精神病には常に再発の可能性があります.
そして, この再発の原因の多くは環境の変化です.
当施設の代表である関 京子がこれまでの精神科作業療法で見てきた患者さんの中には, 社会復帰が決まると同時に作業療法をやめ, 環境の変化によって自分の中で起きている変化に気付けず, 病気の再発をしてしまった患者さんも多くいます.
このため, 環境の変化がある場合, 再発に対する注意が特に必要です.
精神病がどのような環境の変化で影響を受けるかは, 人それぞれです.
現在, 当施設には社会復帰した人も含め, 3年近く計測を続けている方が複数名います.
社会復帰した利用者さんが計測を続ける理由は再発予防を兼ねています.
そして, 計測データの変化にその人その人の特徴が現れ始めています.
このため, どういうときに出来なかったことが出来るようになり, 逆に出来ることが出来なくなったかも分かりつつあります.
そして, 長期に亘ってデータの計測をしていると, このような事が分かるようになるには, 運が関係しているように思われます.
この理由は, 長期間に亘って計測し続けるからこそ, データの変化が偶々起こり, そのデータの変化が起きた時と似たような環境の変化が偶然に起こることで, 初めてその人のデータの変化が何に影響を受けたかが一つ一つ判明しているからです.
ひょっとしたら, その中に精神病を改善する環境変化の手掛かりがあるかもしれません.
そして, この環境変化の手掛かりを見つけられるのは, 精神病を患った本人以外に他ならないと思います.
なぜなら, データ変化に関係する環境変化の詳細は本人以外に分からないからです.
このため, 私たちは常に利用者さんから病気のことを教わる立場にあります.
そして, 精神病の改善の過程を知る上では, 色々なことを話せるように信頼関係を築き上げることが如何に重要であるかを気付かされます.
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